私は食べ物の好き嫌いは殆んどありませんがトマトはつらいです。(少しは食べますが・・・)
小学校へ行く頃,父がいなかったので家にお金が無くて朝,昼,夜の食事はトマトしかありませんでした。子供の私が握ると隠れる位の小さなトマトです。初めに真ん中を“プチー”と噛んで,汁を吸って,後はガブガブと食べました。3個から5個位食べるとお腹がいっぱいになり,心の中では白い米粒を夢に見ていました。
小学校3年生迄は遠足にも行けずに家にいました。
その年,母と尼崎から梅田(大阪)まで初めて電車に乗りました。足にワラジを履いて,本当に嬉しいでした。中学校2年の3学期に母は1500円の学生服を買ってくれました。嬉しいというよりも,母に「生活費は大丈夫だろうか?」と聞いたのを覚えています。母は「心配するな。」と一言言いました。今,考えれば母は強い人でした。
中学3年の時,高校入試がありまして当然の様に友達は入試を受けました。私は入試の試験を受けるのにお金が無くて,1日50円のアルバイトをして受験料を自分で都合しました。私は合格しましたが教科書と手続きするお金が無くて,小さな小さな胸を痛めていましたら,母が泣きながら着物を2枚売りに行ったのを今でも走馬灯の様に,思い出します。その時は解らなくて,母は何故泣くのだろう。僕が高校を合格したから泣いているのかなと思っていました。
今,母が元気でいてくれたら94才,私があの世に行ったら母にぜひ聞きたいです。