今年の正月に私たち夫婦が姉のように信頼している方のお姉さんが亡くなりました。
1月初めの葬儀で,私が親族代表の挨拶をさせて頂いたのですが,私の横でとても気丈にしておられました。
私の父が61才,母が81才で亡くなった時の事を考えていました。父は肺ガンで,発病してから5ヶ月くらいで亡くなり,父とは仲が良くなかったのですが,日,一日とやつれていく父を見ていて心が痛くて苦しい毎日でした。やがて父が亡くなった時,涙が出なかったのです。母が亡くなる時,肝臓ガンだったのですが,お医者様からもう2~3日で死にますと言われ続けて,1年母は生きてくれました。最後の2ヶ月くらいは,私の事を誰だか解らなくなっていました。体をさすってやると,「どなたか知らないけど,ありがとうございます」と聞いた時は悲しかったです。1年間入院していましたが,毎日,病院に行くのがつらいでした。話し掛けても「うん」か「はい」しか言わなくなっていたのでした。
母が亡くなった時は,思いっきり泣きたいと思っていましたが,いざ亡くなると,涙1つ出ない自分にあきれていました。頭の中では,小学1年生でかけっこをして母に勝った事,母と一緒にヤミ米を買いに行って重い荷物を背負わされた事,家が貧乏で正月にしか米の御飯を食べられなかった事,遠足は6年間で1度しか行けなかった事,走馬灯のようにつらかった日が思い出されました。

姉のように慕っている方は今,仏壇で手を合わせていると涙が出てくるそうです。私は母が亡くなった時に思いました。私の場合ですが,本当につらくて悲しい時は,涙が出なかったのです。お姉さんも悲しすぎて,泣けなかったのではと思います。あと10年は元気で過ごさせてくださいと祈願しているのですが,もしその時がきましたらイギリスの天才少年(デクラン.ガブリエル君)が歌っているダニーボーイか浜辺の歌を歌いながら目を閉じられたら最高だと思います。心が泣いていると涙が出ない経験をしました。