妻とよく,仕事を終えてからスーパーに行きます。
私は強い薬を飲んでいますので,お医者様から車の運転を止められているから,いつも妻の運転に頼っています。商品棚を見て回っていると,美味しそうな鰯の塩焼きが目に留まりました。元々,青背の魚,鰯,鯖,鯵は大好きです。大きな鰯だったので2匹買いました。今の私は妻と一匹ずつ頂いたのですが・・・。

昔,こんな事がありました。私が8才の頃は,普通の若い方はウソだと思うでしょうが,昭和25年(1950年)くらいは馬車ばかりでした。それも兵庫県尼崎市です。道で遊んでいると馬車が溝に落ちて,魚がいっぱい積んであるトロ箱(魚を入れる箱)がひっくり返り,道路中魚だらけになったので,近くにいた人たちが皆で助け合いました。その時,魚屋さんはお礼に鰯を2匹ずつくれました。母に渡すと,小さな鍋に鰯を1匹煮てくれました。「何で1匹しかないの?」と聞きますと,母は「おいしいものは皆で分けて食べんといかん!」と私を叱りました。せっかく2匹もらって来たのに・・・と不満顔をしていると,母は私の頭をコツンと叩きました。「お前は自分だけという考えを持っていたら,おとなになった時に良い友だちができないよ!自分が欲しいと思うという事は,皆も欲しいのだよ!相手に優しくて,美味しいもの分けていくと,皆から親切にされるんだよ!」と叱られました。その上,小さな鰯を妹と片身ずつ食べた事も不満でした。
最近は青背の魚を食べると,体に良いと言われていますが,若い方はやはりマグロや季節の魚がよいのでしょうね。子供の頃から美味しいものは皆欲しいのだよ!という母の言葉が私の身に染み込んでおります。
人が4人いて,お菓子が3個しかない時は,皆様はどうしますか?私なら3人の方に差し上げて自分はお腹がいっぱいだと言って食べないようにしています。それも優しさだと思っていますので・・・。

先日,スーパーで買って来た大きな鰯の塩焼きを母の教えを感じながら美味しく頂きました。若いお母さんたち,大切な子供に物を買い与える時,自分の思い出も与えてあげてください。私のように年老いても叩かれて母から教えられた事は,今でもよく憶えていますので・・・。そして子供たちにも優しさや思いやりを教えながら生きております。甘やかしながら育てていると,子供たちは逆ギレする大人になっていきますよ。