先生お元気ですか?久し振りですと愛ちゃんが11年ぶりに会いに来ました。
彼女は自分の望む高校に合格しませんでした。あんまりその高校に行きたくないと,駄々をこねて入学してから1ヶ月半で不登校になり,お母さんと相談に来たのが初めての出会いでした。
愛ちゃんは母子2人で暮らしていて,お母さんは生活する為,朝晩働いて頑張っていました。「愛ちゃんになぜ高校に行かないの?」と聞きましたら「友だちは皆ケイタイを持っているのに,お母さんがケイタイを買ってくれないから恥ずかしいので学校に行きたくない」という理由でした。「じゃあ携帯電話があれば学校に行くの?」と聞けば,「絶対に行く」と言いましたので私のポケットマネーで買ってあげました。
可愛い愛ちゃんは夏休みまでバスケット部に入って頑張っていたのですが,先輩からのいじめに合って1年生のまま退学したそうです。それ以降,愛ちゃんは苦労したそうです。
今は28才で可愛い女の子の母です。今年の11月に2人目の赤ちゃんが生れるそうです。彼女はその当時,思考力が無くて毎日フラフラしてお母さんをだいぶ泣かせて苦労をかけた事を話していました。今は主人も優しくて幸せだと笑顔で話しています。
若い時は先を考える力も無く,大きな会社に入社しようとしても学歴が無いのでアルバイトで生活をしていました。彼女は若い頃は先の事を考えず,その日その日を楽しく生きていれば良い,親よりも友だちの方が大切だったそうです。子供を生んでからお金の大切さが解り,寒い日に子供に服を買ってやれない時は心が痛かったと話していました。11月に2人目が生れたらどうしようと心配しています。人並みに子供に服を買ってやれるのかすごく心配です。「16才の時,先生に買ってもらった携帯電話を今も大切に保管してあって,そのケイタイを見る度に先生の事を思い出して勇気が出ます。苦しい時はケイタイを見て元気になると言いました。私も将来,頑張って働いて長谷川先生にお返しをします。もう少し待ってください」と言って帰りました。
その携帯電話は愛ちゃんにとって,とても大切なお守りなんですね。「11月に2人目が生れたらどうしよう」この言葉が今でも頭から離れません。私たちは皆,先がどうなるか解りません。今日は良かったと言って喜ぶ事も大切ですが,私は今日も良い一日でありました。今日よりも明日は,もっと元気で頑張りますと手を合わせて神様に御礼を言います。毎日愚痴を言いながら生きていては自分が一歩前に進まない事を知っているからです。
このブログを愛ちゃんはたぶん読まないと思います。でもいつの日か陰で愛ちゃんの事を思っている私がいる事を解ってくれれば私は本望です。