今から29年前の話です。
私がテレビに出演させて頂いた時,お坊様がそのテレビを見ていらっしゃって,私を訪ねて来てくださいました。その時少女が川で溺れ死んでお通夜に行った時,その少女はひまわりの柄の浴衣を両親が着せていたそうです。そのまま次の日にお葬式があって,そのお坊様は火葬場迄行って,供養のお経をあげて少女を見送ったそうです。それから10日位後にお寺の中庭の小さな松の木に10日前に死んだ少女が着ていたひまわり柄の浴衣が掛かっていたそうです。
お坊様は亡くなった少女の家に電話して聞いたところ,その浴衣は少女が好きだったので,火葬した時に着せていったのでもう無いはずと言われたそうです。お坊様はその浴衣にお経をあげて火葬しました。
その1ヶ月後,井戸に落ちて亡くなった少女がいて,そのお葬式に行きましたら,その少女もひまわり柄の浴衣を着ていたそうです。そのお葬式が終わって,9月のお彼岸の中日(ちゅうにち)にまた,お寺の松の木にひまわり柄の浴衣が掛かっていたそうです。お坊様はそのひまわり柄の浴衣にお経をあげて供養していたら,背中の方から少女の声がして「お父さ~ん,お母さ~ん」と泣きながら呼んでいたそうです。お坊様は「まだその少女への供養が足らないんですね」と話されました。
「生きている子供の面倒をみるが,死んだ子供はほったらかしにされるんですね。死んだ仏様をもっと大切にして供養しないと自分もいつかはほったらかしにされるんですよ。」と言われました。

私はお盆の時期がくる度に,このお坊さんの話を思い出します。簡単に子供をおろして供養をしていない若い方たち,水子さんの成仏できずに泣いている姿を忘れないでください。