先日,夜中の12時半頃に若い男性から電話が掛かってきました。大阪の八尾市からです。
「僕は岡田(仮名)と言いますが,お父さんが一週間前に死にました。喉頭ガンで死ぬ前まで 長谷川君に会いたい と言っていた」という事でした。私と岡田君は数年に一回,「元気している?また会いたいね」後は楽しい言葉のキャッチボールを20分位して終る友だち関係でした。

彼は私と同い年で,19才の頃に知り合って,その当時は松竹映画で俳優をしていました。1年間で2本映画に出ていましたが,21才で映画を辞めて,伯父の経営している機械部品の会社に帰って来て,土曜日毎に大阪,梅田で会っていました。
それから彼は,1万円で買ったカメラで写した写真を読売新聞のコンテストに応募して金賞を取りました。その賞金で良いカメラを買って,時間があれば北海道の礼文島から山口県の青梅島迄,日本海に沈む夕陽を写しに行っていました。何回も賞を取って,大手新聞に掲載されているのを陰から喜んで見ていました。6年位前に今度は,九州や沖縄の夕陽を一緒に撮影に行こうと言っていましたが,それも叶わぬ夢に終りました。

私の友だちは,とても変わった人生を送っています。映画俳優から営業マン,写真家になったかと思うと写真評論家。最後は写真スクールの先生で頑張っていました。
彼はいつも明るくて,プラス思考で何にでもチャレンジする友だちです。
私は彼が死んだとは思っていません。
彼から鹿児島に行くよ!の電話を待ち続けます。